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2006/09
水力ケーブルカー
The Water-Balanced Railway

マカンレス市街からCATに向かって行くと、周囲の景観に巧みに溶け込んだ水力ケーブルカーの景観に誰もが目を奪われる。美しい谷間を望む様に建つその上駅の姿は帆船の舳先の様でもある。

このヨーロッパの中でも他に例を見ない独特のケーブルカーは、サステーナブルテクノロジーの王国の玄関を飾るに相応しい存在である。

CATの見学客は、以前は山上の展示施設まで急な坂を登らなくてはならなかったが、今ではこのケーブルカーで素晴らしい景色を楽しみながら快適に往来できる様になった。見学者達はケーブルカーの下駅の前に立った時からサステーナブルなテクノロジーの実例を見せつけられる事となる。下駅が小川の上に建っているの事には理由がある。下駅に到着した車両がバラストタンクを開き、積んでいた水を放出する為である。乗降が済み、改札口と車両扉が閉まっても、上下各車両の重量調整の為に若干の時間を要する。上側の車両のバラストタンクに注水し、下側の車両よりも重くなった時点でベルが鳴り、ブレーキが解除され、ゆっくりと動き出す。


登り車両が進み、木々に満たされたDulas渓谷とTarren y Gesailの峻険な双峰を望むと、いよいよ景観の素晴らしさが実感される。降り車両とすれ違い、上駅の建物を支えるオーク材の太い柱が見えると短い旅の終わりである。展示施設の探訪を始める前に、上駅のバルコニーからもう一度景色を満喫するのも良い。ここでは水力ケーブルカーと言うサーステーナブルテクノロジーの実例を、この様な心地良さと共に体験できるのである。

動作原理
ケーブルカーは、二台の車両が鋼索で結ばれ、一方が下に降りれば他方が上に登る様になっている。各車両は水タンクを備えている。運転する時は、コンピューター制御により、上駅に停車中の車両のタンクに注水する。そして、水で十分な重さになった所で発車する。速度制御と停止時の衝撃緩和はガス圧式のブレーキで行っている。また、車両の動作エネルギーを利用して、下駅で車両から排出された水の一部を上駅に送り返している。この水は、冬期の運転休止中や水量が豊富な時には、駐車場の下に設置してある水力発電機(4Kw)に、45メートルの落差を経て送り込んでいる。



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