水濾過装置
Water Filters
原著作者 CAT's free information service    日本語訳 CAT普及協会
日本語訳に関する連絡先 infodesk@cat.or.jp

水供給と濾過に関するこの文書は、CATの会員機関誌Clean Slateに掲載されたものである。
生水には化学物質、鉱物、ガス、微生物、有機物質などが含まれ、その内の一部は健康の為に必要なものである。ある物は味や匂い、そして水らしい感触を与えるが、一方ある物は有害である。ある種の化学物質は人工の物で、農地や工場からの排出により上水に混入するが、フッ化物や塩素の様に意図的に添加される物もある。鉛、カドミウム、銅は自然に混入する場合も、人の活動によって混入する場合もある。そして生物や植物も水に含まれている。

読者諸兄諸姉は水道から水を得ているだろうか、或いは自家用の水源をお持ちだろうか。上水道が引かれているなら、水道運営者には清浄で安全な水を供給する様に義務付けられている。それは、この国では長年に渡って水由来の伝染病で幾千もの命が失われて来たと言う経験の結果である。もし上水道が無ければ、人は貯水池や湧水や井戸を自ら確保するか、或いは雨水を集めて使わなくてはならない。

英国とECは、法律でアルミニウム、鉛、硝酸塩、農薬、病原体(疾病を引き起こす有機物質)の許容値を定めている。水道運営者は浄化と濾過に務めているが、季節によって硝酸塩と農薬の混入量が許容値を超えてしまう場合がある。しかし、非有機農法による野菜や果物に含まれる残留農薬の量と比較すれば取るに足りない。むしろ、他にも残留量の多過ぎる物質がある。常に新しい化学物質が登場し、流通しており、我々が常にそれらの全てを知り得るわけではない。

もし、供給されている水に不安があるなら、殊に自家用水源の場合は、その水質を良く調べるべきである。水質の調査を自分で行うのは難しいので、通常は環境当局に委ねる事になる。そして水の成分が解れば、最適な浄化装置の選択が可能になる。

微生物、特に病原体は、5分間の煮沸、緩速砂濾過装置、活性炭で除去できる。または、塩素を用いて除去する事も可能である。化学物質は煮沸では除去できないが、ある種の器械濾過装置である程度分解が可能である。

以下に基本的な濾過装置の分類を挙げる。
  • マイクロ波除去装置 紫外線フィルターや塩素、オゾンなど、微生物の細胞を破壊するもの。
  • (ふるい) 小孔に水を通す事により微生物や化学物質を除去する。逆浸透フィルターやセラミックフィルターなど。
  • 付着スポンジ 活性炭など、本体表面に化学物質や微生物を付着させる。付着させる場所が満杯になれば機能しなくなるので、定期的な交換が必要である。
砂の濾材は、微生物分解と合わせる事で、(ふるい)と付着スポンジの両方の機能を果たす。

浄化装置の設置形態としては、配水管の中に置くインライン形式のものと、水差型の様に全く独立したものとがある。価額は濾材の形式、電力の要否、交換部品の有無などによって様々であり、導入決定の前に十分に検討すべきである。塩素を除去する浄水装置はバクテリアの繁殖を招き易いので、水差そのものを涼しい所または冷蔵庫内に置く必要がある。バクテリアの繁殖を抑える為に銀を染み込ませた物もあり、これらは紫外線フィルターと共に用いる事もできる。雨水は、トイレの洗浄水や庭の水撒き用など、飲用に向く水質が不要の場合に使用可能である。

屋根から収集した雨水に含まれる塵芥を除去する濾過器もある。これらは、通常は樋の途中に設置する。貯留槽や桶は、再生プラスチックや廃品のジュース缶など、材質も大きさも適当なもので差し支えない。庭園の水撒きなら浴室の廃水も使用可能だが、貯留はすべきでない。雨水利用も廃水利用も、夏の英国の水不足には有効な策である。水源が何れであろうとも、節水は支出と環境への影響の双方を低減するものである。

更に詳細については、次のCAT解説リーフレットを参照されたい: 「緩速砂濾過器/Slow Sand Filters」「家庭でできる節水/Water Conservation in the Home」「庭園での廃水リサイクル/Making Use of Waste Water」。家庭の水回り、水処理、給水に関する業者等については、当該分野の「リソースガイド」を参照されたい。業者探しについては、本ウェブサイトの「業者検索」も利用可能である。

ここで紹介した出版物は「通信販売」で提供している。解説リーフレットとリソースガイドは、ペイパービューのページでPDFをダウンロードする事も可能である。


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